花期者

日常って何 普通ってどんな感じ ここじゃない処へ

日々綴

幸せって

皆様にとって幸せとは何ですか?

贅沢じゃないながらも、最低限食べるものと、住む場所があるのんびりとした暮らし。

出世して、住まいや衣服にこだわり、周囲の人からの尊敬や名声を得た暮らし。

どちらも幸せな部分はあるし、その代償として我慢しなくてはならない部分もあります。

 

どちらが正しいかなんてことは決められないと私は思います。

人によって感じ方、大切にしたいこと、優先順位は違います。

 

20歳になって幸せとは何かということについて以前より考えるようになりました。

最愛の人と一緒になること?仕事で成功すること?たくさんの人から認められること?自由を手にすること?

今の私にとっては、どれも合っているようで、合っていないのかもしれないとも思います。正解は分からないです。

 

でも、色々考えていくうちに、分かったことがあります。

正解を求めることが全てじゃないということです。

きっと、今こうやって悩んだり、考えたりしてる時間が大切で、かけがえのないものなんだろうなと思います。

答えの出ないことはこの世の中にはたくさんあります。

答えの出ないことは、無理に答えを出さなくてもいいんじゃないでしょうか。

それでも答えを出さなきゃいけない時に、悩んだ時間が、考えたことが、自分の決定を後押ししてくれると信じる。

20歳の私にとっては、ここにたどり着くことで精一杯でした。(笑)

 

 

日々綴

秋の空

 

私は空を眺めるのが好きです。

特に夜空が好きなのですが、秋の空は昼間の方が趣深いなあと。

夏の空は一面の青の中に、真っ白な雲がたくましくそびえ立っていて、ある種の興奮をもたらす。

冬の空は寒い空気の中に青く澄み切った、冷たく、それでいて孤高の美しさを持っている。

秋の空はどちらの空にもない、曖昧さがある。空の青さも白を混ぜたような、少し白濁した淡い色合い。雲の形は言葉の通りふわふわとして、透けているような、消えてしまいそうな、はかなさがある。

 

私はこの空が大好きです。皆様はどの季節の空が好きですか?

 

一日として同じ空は存在しない。

そう考えると毎日ふと見上げる空にとても愛着が沸きます。

はじめまして。

 

 

順番が前後してしまいましたが、軽く自己紹介をしたいと思います。

はじめまして。花期者を読んで頂きありがとうございます。

seaglassと申します。

花期者は、そのまま"かきもの”と読んで頂いて大丈夫です。

 

それでは軽く自己紹介を。

性別(という言葉を使うのはあまり好きじゃないですが、ここではそれ以外に表す術がないので)は女、年齢は現在20歳、学生です。

日本のお茶の国で生まれ、育ちました。

好きなものは本、映画、音楽、アニメ等、誰かが何かの思いを込めて創った作品に触れること、空や景色を見ること、水の中に入ること、歴史(特に古典文学、専門的な研究者様が読んでいらっしゃったら文学は歴史じゃない!と怒られそうですが…)です。

結構色々なことに興味を持つので、これ以外にも一時的に好きになったり、夢中になったりしたものはたくさんあります。

 

このブログを始めようと思ったのは、

単純に書くことが好きだったということもありますが、

変わらない何かを変えたかったというのが大きな理由です。

日常の中で過ぎ去っていく日々の中でふと思ったことや感じたこと、

それを言葉で残すということで何か変化が生まれるんじゃないか、

そう思ったのです。

 

二十過ぎればただの人

 

ただの人が時の流れに少し逆らう方法は

言葉を編むことじゃないかと私は思います。

 

だから少しだけ逆らってみようと思います。

あわよくば、皆様がふとした瞬間にここに書かれた言葉のことを

思い出して、何かを心にとどめて頂けたのなら幸いです。

淡く染められて 

episode1 約100メートル

 

 

思えば、俺たちは最初からこうなる

運命だったのかもしれない。

 

 

 

 

そっち春休みいつからー?

もう休み入った

んじゃ、今日暇ー?

ひま

うち来ねー?

いくわ

うぃー

 

 

 

「お邪魔します。」

そういやこいつの家来るの久しぶりだな。

去年の夏ぶりか。

澄とは家が近くて、

小学校、中学校はほぼ毎日一緒に登下校していた。

でも、同じクラスになる事は少なく

学校ではほとんど関わりがなかった。

高校は違う学校に通った。

俺は人に執着しない性格で、

小学校、中学校、高校と

友達と呼ぶ人はめくるめく変わっていった。

澄ただ一人を除いて。

澄とだけは、高校で離れ、大学も違う

現在も尚、友達という関係を続けている。

 

「なあー、髪染めてくんね?」

「いいけど、なんでまた急に?」

「いやー、春休みの間だけこっちでバイトやろうと思ってよ。」

「あー、短期バイト?」

俺は地元の大学、こいつは東京の専門学校に通っている。

「そ。髪色今のだとアウトなんだわ。」

「そゆこと。染めるやつあんの?」

「カラー剤買ってこねーとねえんだわ。」

「買い行く?」

「おう。」

 

「東京はどんな感じ?」

「んー、普通。」

「普通って、お前、もう少しあるだろ。」

「いやー、ほんとに普通なんだわ。

ここと変わらねえ。そりゃもちろん?

派手な服着た姉ちゃんとか、

どデカいビルとか、

ここにはないもんもあるけどさ、

いくら外見が変わっても、

内側にあるもんはそう簡単には

変わんねえよ。」

幼い頃から一緒にいるのに、

こいつのことが時々分からなくなる。

澄は俺の問いかけに対して

求めてる以上のものを出してくる時がある。

それが、俺に助けを求めているのか、

それともただ素直に思ったことを言っているだけなのか、

俺には分からない。

「裕太は?どうなんだよ、大学。」

「俺はまあまあ楽しくやってるよ。」

「ふーん、それならよかったな。」

「おう。」

 

「じゃ、染めるぞ。」

「よろー。」

「お前の髪ってほっそいよな。」

「将来ハゲそうで嫌なんだよなー。お前の髪くれよ。」

「嫌だよ。」

「ケチくせーな。」

「染めにくいから前向いて。」

「へーい。」

カラー剤の泡が一本一本にまとわりついて、

やや暗めのブラウンに染めていく。

手袋と泡ごしにこいつの髪に触れながら、

何故か俺はいたたまれない気持ちになった。

まるでこいつを汚しているみたいな。

 

「あとは15分待って、洗い流すだけだな。」

「おー。ありがとー。」

勉強も運動も人間関係も

そこそこに上手くやれた俺は、

学校という場所で生活することに

それほど苦労しなかった。

比較的社交的でもあった俺は、

生徒会や委員会のトップを務めることもあった。

一方澄は、そういう面倒くさいことを嫌うタイプで、

人前に出ることをしたがらなかった。

勉強はできなかったが、

運動は得意で体育の成績だけはいつも負けてた。

なかなか人に心を開くことの無い澄だが、

表面上の付き合いってやつは上手くて、

なんだかんだ澄の周りにはいつも人がいた。

でも俺には澄が時々苦しんでいるように見えた。

笑って誰かと話しているその表情が、

誰かと似ている。

ああ、俺と似ているのか。

 

「きれいに染まったわー。」

「おー、いいじゃん。」

「これでバイトの面接受けれるわー。」

「いつ受けんの?」

「明日。」

「お前、俺が今日暇じゃなかったら

どうするつもりだったんだよ。」

「んー?そん時は自分で何とかするし、

お前は来るだろーなって思ったんだよ。」

「なんだそりゃ。お前俺の事盗聴でもしてんのか。」

「してねーよ!なんとなくそう思ったんだよ。」

「まあ、なんでもいいけど。

面接頑張れよ、頑張るほどでもないか。」

「おー、ほどほどに頑張るわ。」

 

「お前、次いつ暇?」

「俺は基本的バイトの日以外は暇だけど。」

「んじゃ、また暇な時会おうぜ。」

「おー、じゃまた連絡するわ。」

「ん、よろしく。じゃ、またな。」

「おう。お邪魔しました。」

 

 

澄の家から俺の家までの約100メートルの短い距離。

こんなに短い距離なのに、この距離さえもどかしい。

いっそのこと、もっと長くて遠ければいいのに。

そんなことを思いながら俺は

約100メートルの道のりをゆっくりと歩いた。